
2017年11月30日
スペイン研修
2017/10/22~2017/10/28
東京支店 渡辺 恭太(レポート)
名古屋支店 岸本 吉敬
1日目 マドリッド 到着
私にとって、初めてのヨーロッパ研修。
その最初の一歩はオランダのアムステルダムでした。
トランジットの約二時間のアムステルダム滞在を経て、
マドリッド空港(正式な名称はアドルフォ・スアレス・マドリッド=バラハス空港)に到着。
(アムステルダムで何をしたワケでもないですが、
まぎれもないヨーロッパ研修の第一歩となりました)
夜の到着という事もあり、空港からタクシーでホテルに直行。
ホテルに到着後は軽く荷物を解いて、さっそくマドリッドの繁華街に。
食事がてら、軽く現地視察に出発します。
数件のタパスやバルも経験させて頂き、とても刺激的なスペイン初日となりました。
スペイン中にあるマヨール広場の中でも、
特に有名なマドリッドのマヨール広場を出た所にある、こちらも有名な【サンミゲル市場】
ガラス張りの巨大な空間の中に販売店も飲食店もあり、
スペインの食の全てが詰まっていると言っても過言ではありません。
世界中の観光客が訪れる超有名店【メソン・デル・チャンピニョン】
常に混雑していて、床には爪楊枝や紙ナプキンがたくさん落ちています。
(スペインでは爪楊枝等を床に捨てるのが一般的で、床が汚れている方が繁盛店の証拠にもなる)。
色んな言語でメニューが書かれています。
サンミゲル市場からもマヨール広場からもすぐの好立地で、
マドリッド観光の際は一度、行ってみるべきだと思いますよ。
シンプルでいくらでも食べられるマッシュルームの鉄板焼き。
常に焼き続けられているのに、焼いたら焼いただけ売れていました。
2日目 BLAZQUEZ社 工場視察
スペイン中西部、サラマンカはスペインを代表する大学の街でもあり、
旧市街全体がユネスコの世界遺産に登録されています。
そんなサラマンカから南に約50kmほど離れた場所にある、
BLAZQUEZ社の工場の一つを視察。
30か国に輸出が出来る輸出許可を持っており
週に2~3回、毎回約600本の生ハムの原料が納品されているとの事。
入荷して冷蔵庫で冷やされた原料は湿度100%の室内で1kg×1日
(10kgの目方であれば10日)塩漬けされ、熟成工程に入ります。
熟成工程中の生ハムの管理は、全て職人さんの手や感覚だけで管理されており、
状態を見ながら気温や湿度を変えているとの事でした。
BLAZQUEZ社 工場
昼食後、イベリコ豚が飼育されている放牧地の視察をさせて頂きました。
豚1頭に対してかなり広大なスペースを確保しており、
豚1頭1頭がのびのびと放牧されていました。
まだ生後数か月との事でしたが、すでに巨大さを感じました。
思っていたよりもお尻が小さく、逆に肩周りの筋肉の量感が凄く、
突進されたら大怪我程度では済まないな、と直感しました。
観察していると、急にテンションが上がるのか、ジャンプを繰り返したり
ごく短距離ですがダッシュをしたりと、唐突な動きを見せる事があり、
太って見えるだけで全身筋肉の塊だと言う事が見てとれました。
まだ幼さの残るイベリコ豚
アテンドして下さった方とイベリコ豚の集団。
イベリコ豚に限らず、豚と言う動物は非常に憶病なので、
普通はここまで接近すると危険をともなう事も多いらしいのですが、
この方は何故か豚に敬遠される事もなくこの距離まで近づいていました。
良い子の皆さんは決して真似をしないで下さい。
サラマンカ市内のレストランにて。 天井いっぱいにBLAZQUEZ社のハモンイベリコ。
3日目 BLAZQUEZ社 工場視察
この日はBLAZQUEZ社創業の地にある工場視察。
1932年5月3日からスタートし、
最初は20匹程度の豚の飼育から始まったとの事です。
こちらの工場ではハモンイベリコの製造はもちろん、
枝肉の解体も行われていました。
内臓を掃除され、全ての部位を捨てることなく
キレイに解体され・部位毎に加工されていました。
生ハムの製造工程は、前日の工場と設備は多少違えど、
しっかりと職人さん達の手によって管理されていました。
BLAZQUEZ社創業の地
熟成中のハモンイベリコ
熟成室の中は、見渡す限りのハモンイベリコの量で、
ハモンイベリコ特有の芳香に満ちていました。
4日目 ナバロ・ロペス社 ワイナリー視察
1904年創業のナバロ・ロペス社。
シウダレアル近郊(シウダードレアル/シウダッドレアルとカタカナでは書かれますが、
現地での発音ではシウダレアルと言っていたので、
ここではそう書きます…マドリッドは…スルーします)
バルデペニャスの街はずれに、広大な敷地のブドウ畑を持っており
『品質・革命・付加価値』を会社のスローガンに掲げ、
150人の従業員の手によって年間1500万ボトル
(1000万ℓ)のワインを製造されています。
生産者や収穫時期だけではなく、収穫時間にまでこだわり、
収穫してから二時間以内にワイナリーに
搬入しなければならない等の厳格なルールのもと、
今までに国内外57ものワインの賞を受賞されています。
中国とロシアにも事務所を設け、イギリス、アメリカ、
ドイツなど世界各国にも輸出をされています。
バルデペニャスの街は、冬には-4度、夏には40度にもなる寒暖差が激しい土地で、
職人さんたちが自分達の手でブドウの樹を最善の状態に管理し、
9月の収穫の時期には機械は使わず人の手によって収穫されます。
夏場、暑くなりすぎた場合は、葉を増やしブドウの実を日差しから守るなど、
本当にこだわりを持って仕事をされています。
滞在時間一杯まで、色々と説明して下さったナバロ・ロペス社の会長
ナバロ・ロペス社 社屋
見渡す限りに広がるブドウ畑。収穫後で少し寂しい雰囲気です。
5日目 カンポドゥルセ社 工場視察
遠い昔にはサラゴサ王国の首都であり、下ってアラゴン王国の首都となり、
ナポレオンに攻め込まれたスペイン独立戦争の時には国防の要衝として、
近年では2008年にサラゴサ万博が開催された、スペインでも有数の大都市サラゴサ。
その郊外にあるカンポドゥルセ社の工場を視察。2003年に創業の比較的若い会社です。
豚の飼育、飼料開発、屠殺、肉の加工、熟成まで全て自社グループで行っており、
今ではスペインでも有数の生ハム会社のひとつです。
工場は自社グループ内の専門会社が運営されている事もあり、
加工場も冷凍冷蔵庫も想像をはるかに超える大きさでした。
清潔さはもちろん、全ての生ハムにタグが付けられており、
そのタグ記載のバーコードを読み取れば生産者、生産場所、入荷時の重さ等
全ての情報がコンピューターによって管理されています。
世界的に見ても最先端のトレーサビリティ・コントロールだと思います。
カンポドゥルセでは塩漬けの段階から機械で行っており、
工場全体が全行程で完全な状態をたもてるよう、オペレーティングされていました。
毎週、日本にコンテナ20本分の生肉を輸出している実績もあり、他に類を見ない規模の工場です。
創業して十数年の会社とは思えないほどの設備でした。
塩漬け工程に向かう生の原料
湿度等も含め全てコンピューターで管理されている、塩漬け中のハモン
熟成中のハモン
5日目の夕方からはバルセロナに向かい
そのままバルセロナ市内の市場調査へ。
移動につぐ移動で少し疲れていたのか、
バルセロナでの食事の写真はありません。すみません。
人生初サグラダファミリア前にて…暗くて写真では何も見えませんが。
FCバルセロナのホームグランド カンプノウ。
サッカー少年だった私にとって、ここもある意味で聖地でした。
最後に
私にとっての人生初めてのヨーロッパ。
毎日見るもの触るもの全てが本当に刺激的で、
一生忘れる事の出来ない研修旅行となりました。
まずは今回の視察研修を開催していただいたメイカー様、
現地で手厚いサポートをして頂いた皆様、本当にありがとうございました。
私にとってスペインでの日々は、忘れられない経験となりました。
そしてこの様な機会を与えて頂いた会社と、
不在時にお客様へ対応して頂いた東京支店の皆様には本当に感謝しかありません。
現地にてたくさんのおもてなしをして下さった3社の生産者の方々にも本当に感謝しております。
3日目に体調を崩してしまい、半日まったく動けずに
皆さんにご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ありませんでした。
現地で生産者の方々の熱い気持ち、プライド、技術や向上心を
直接肌で感じることが出来て、本当に勉強になりました。
この気持ちを今後は私自身が日本でお客様に伝え、
一人でも多くのお客様に商品を愛してして頂く事が使命だと思っております。
同時に、生き物の命をいただいてこその食品、
そのありがたみを忘れずに、誠意を持って販売しなければならないと
再確認させてもらえた旅となりました。
最高のスペイン研修を、ありがとうございました。