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海外研修記 南イタリア ワイン研修

お知らせ2016年08月31日

2016.7.3~2016.7.11

文と写真 大阪支店 田中 景介

 

 

 直線距離にして約9,700㎞、移動時間約12時間。

日常生活を過ごす場所から遠く離れたこの異国の地には

日本とは全く異なった生活、文化がありました。

今回イタリアへ行かせていただいた事で、今後の私の仕事・人生に

大きくプラスになる、とても貴重な体験・経験が沢山 出来たと思います。

実際に現地の文化に触れる事で、少しだけかもしれませんが

そこに住む人たちの思いや考えを、理解出来ましたし、

そこでしか食べられない物、飲めない物も多数ありました。

 

イタリアを足に見立てた踵の部分(プーリア州ブリンディジ)から始まったこの旅は、

8日間かけて膝の辺り(ラツィオ州ローマ)まで、

毎日ワクワクする 新鮮な心持ち、刺激の中で過ごす旅となりました。

 

 

<1日目>移動日

 

駐機中のアリタリア機 イタリアへの第一歩となりました

 

 

 

<2日目>プーリア州ブリンディジ 旅の始まりはブリンディジの港から

 

 暑い地域の港町で、街の景観は伝統的で重厚なヨーロッパ建築の中にも

どこか観光地・避暑地っぽい軽さを感じました。

イタリアの踵部分に当たるこの地域での気候は、

日本とは違い湿度を感じない乾いた風が吹き、

直射日光は強烈ですが日陰に入れば涼しく感じられます。


 


ブリンディジの海辺 古い映画で見た事があるような景色でした

 

この時期のヨーロッパはサマータイムで(時計の針を1時間早める)、

日の出が朝6時前に対し日没は20時半~21時頃となり、

日照時間が極端に長く、体調を慣らして

現地の生活リズムに合わせるのは大変でした。

更に緯度の高い地方になれば、日の入りが22時を過ぎる事もあるようです。

 

 

カステッロ・モナチ社 併設レストランにて食事

 

 ワイナリーでの食事、という普段ではなかなか経験出来ないおもてなしを受け、

上品な印象を受けた料理の数々も非常に美味しかったです。

特に印象的だったのはロゼワインの”レオス ネグロ・アマーロ”、

とても美味しく、ついつい飲みすぎてしまいました。

またフレッシュ・モッツァレラも、日本ではなかなか食べられない

鮮度の良さを感じました。

私が意識していないだけかもしれませんが、

日本ではロゼワインを飲む機会があまりないので、

こちらでは日常的に消費されていることに驚きました。

 


カステッロ・モナチ社の社屋 これから歴史を刻んで重厚さを増していく事を予感させる面構えでした

 

 

同社所有の古城 こちらは打って変わって歴史を感じさせる重厚な建築物でした

 

 

ワイナリーでのランチ 前菜の気取らないオシャレな雰囲気、勉強になります

 

 

この旅の目的である、ワインのテイスティング

 

 

バジリカータ州の町 マテーラへ

 

 マテーラは歴史が古く、石造りの建築物が密集した街並みで、

旧市街には石灰質の岩肌に「サッシ(ユネスコ世界遺産・マテーラの洞窟住居)

と呼ばれる、現在も再利用されている洞窟住居があります。

小さな路地が無数にあり、ドゥオモ(教会)広場から北側の

サッソ・バリサーノ地区の景色は言葉に出来ないほどキレイで、

自分が日本から遠く離れた非日常の中にいる事を改めて実感しました。

 

 

マテーラ旧市街の夕景 色調の落ち着いた街でした

 

 

マテーラのドゥオモ広場

 

 

<3日目>プーリア州バルレッタ=アンドリア=トラーニ県

 

 プーリア州の中部に位置するイタリアで一番新しい県のひとつで、

世界遺産カステル・デル・モンテのある

DOC(原産地認定)地区を含む丘陵地帯です。

東ヨーロッパの多くの国を経て、

対岸のバルカン半島からアドリア海を抜ける、

冷たい風が吹く冷涼なエリアです。

ムルジャと呼ばれる標高の高い台地と平野に分かれていて、

ワイン用のブドウをメインにオリーブの栽培も行っています。

この付近は古代ギリシアや東ローマ帝国、

シチリア王国、ナポリ王国の植民地だった事もあり、

東にあるサレント半島の県とは言葉や文化に違いがあります。

大昔イタリア半島が隆起して最初に出来た土地、

とも言われており水源は地下600m、本来は植物が育ちにくい

枯れた土地との事で、冬には雪が降り植物は枯れ果てる事もあるとの事。

ブドウの栽培には雨の降りにくいかれた乾いた土地で、

日当たりと風通しの良い土壌が適している事を、

実際にリヴェラ社の畑の中での講義で、詳細に教えて頂きました。

 

 

ブドウ畑での講義 本当に勉強になりました

 

 

寝かされるワイン樽 温度・湿度の管理も完璧でした

 

 

リヴェラ社でのテイスティングの様子

 

 

リヴェラ社 バルコニーレストランにて昼食

 

 ビュッフェ形式で、多種多様な料理と、パスタはオレキエッテが出ました。

リヴェラ社のEXVオリーブオイルがあり、とても美味しかったです。

今回の旅の全日程で最も印象に残ったと言えるくらい美味しかったのが、

鮮度抜群のブッラータ(フレッシュチーズと生クリームを

チーズの前段階とも言える乳成分の凝固物・カードで包んだ物)でした。

当社でも冷凍のブッラータを取り扱っていますが、

全くの別物かと思うくらい食感が違ったのが衝撃的で、鮮明に記憶に残っています。

個人的な感覚で例えるなら、「乳成分が凝縮した濃厚な生湯葉」と言ったところでしょうか。

ブッラータのような商品は、やはり鮮度が一番大事なので、

日本に輸入するのは難しい事なのだと再認識しました。

 

食べる事に夢中になりすぎたので、この時の食事の写真はありません…

 

 

<4日目>一路 カンパーニャ州ナポリへ

 

 8年程前に担当させていただいていた、

南船場のお店でオーナーシェフをしていたお客様が、

タイムリーにもピッツェリア・ロスティチェリア・ダ・ガエターノで修業中だった事もあり、

プーリア州でいくつか他のワイナリーにも行きたい所でしたが、

このタイミングで会えるのも何かの縁だと感じて、

ナポリの沖合、イスキア島のダ・ガエターノへ向かう事に。

宿泊先のホテルより歩いて10分のナポリ港から、

往復30ユーロの船に乗り約1時間のイスキア島、

神の手と呼ばれるナポリ・ピッツァの第一人者ガエターノ氏のお店へ。

日本のピッツァイオーロに話せば誰もが羨む様な経験をさせていただきました。

 

 

イスキア島の港周辺

 

炎天下の中、かなり歩きましたが、無事辿り着き

美味しいナポリ ピッツァと郷土料理を頂きました。

お客様でありプライベートでもお世話になったシェフともお会いし、

この地での再会を祝う事が出来て、とても良い機会になりました。

 

 

遠く離れたイタリアの小さな島での奇跡的な再会

 

 

神の手ガエターノ氏が作り出すマルゲリータ

 

 

 

 

 

ナポリ カステル・デル・オーボ(卵城)

 

 


<5日目>ヴィッラ・マティルデ社へ


 

 ヴィッラ・マティルディ社。カンパーニャ州でファレルノDOC地区を中心に、

半世紀以上に亘って高品質ワインのみの醸造を行っているワイナリーです。

ベネヴェント地区、アヴェッリーノ地区等、栽培地を4つ持ち

それぞれの土壌、気候(ミクロ・クリマ=局所的気候)に合った

最適なブドウを植え、また更なる高品質ワインの開発に向け日々研究を重ねており、

グリーンハーベストと呼ばれる栽培方法(摘果・間引きによって

残った果房に、光合成で得たエネルギーを集中させる方法)をとっています。

 

 

スプマンテの瓶を透かして沈殿物を見ています

 

また、研究の末、1800年代半ばに起こったフィロキセラ(ブドウネアブラムシ)の

大発生によって途絶えたと言われるファレルノワイン(古代ワイン)を

復活させたワイナリーとしても有名です。

 

 

ヴィッラ・マティルデ社の入り口

 

 

カンティーナのバルコニーにて昼食

 

 リストランテ並みの素晴らしい料理と美味しいワインの数々、

とても良い時間を過ごさせていただきました。

ワイナリーを駆け回る3頭の犬がとても可愛く、

ファランギーナ、アリアニコと、ブドウ品種で名付けられていて、

とても人懐っこく我々が出発する時も名残惜しげに見送りをしてくれました。

このイタリア滞在中、一番癒されたひとときでした。

 

 

ファランギーナ

 

 

アリアニコ   もう一頭の写真は、撮り忘れました…疲れが出てきだしたのかもしれません



ウンブリア州オルヴィエートへ


今回の旅で訪問した街の中で、このオルヴィエートの街並みが

最も印象が強く記憶に残っています。

古く荘厳な雰囲気で、どこか静けさが感じられ、

中世にタイムスリップした様な気分になります。

これまで荒野、平原が続いていた道中でしたが、

ウンブリア州に入った辺りから山や森、ブドウ畑になり、

そういった中に一際目立つ凝灰岩の丘の上に

ルーペ(城壁)に囲まれたこの街があります。

住居も道路等も石造りで、大きくて立派なドゥオモもあり、

「世界一美しい丘上都市」と呼ばれるのも納得です。






オルヴィエートの街路 とても現代とは思えない静謐さを感じました




オルヴィエートのドゥオモ ベタな表現ですが、まるで絵画のような美しさでした



<6日目>ファレスコ社 ワイナリー訪問


 今回の旅において最後の訪問となるワイナリーです。

ラツィオ州とウンブリア州の州境にありボルセーナ湖(火山湖、ラツィオ州側)と

コルヴィーナ湖(ウンブリア州側)、二つの湖の近くでブドウの栽培を行っています。

代表的なワインに「エスト!エスト!!エスト!!!ポッジョ・ディ・ジェルシ」があります。

1979年リッカルド氏とレンツォ氏のコタレッラ兄弟によってモンテフィアスコーネに設立され、

前述の「エスト!エスト!!エスト!!!」等、現代イタリアを代表する多くのワインを生み出し続け、

2000年にはモンテッキオの丘陵地帯に260ヘクタールの新カンティーナを創設。

見晴らしが良く、印象に残る空の青と畑の緑が目に美しい景観です。




ファレスコ社のカンティーナから見える景色




同じくファレスコ社から見える景色 見渡す限りのブドウ畑でした



ファレスコ社にて昼食



彼らはブドウ畑のすぐそばに農園を作っていて、そこではズッキーニや

カーボロ・ネロ(黒キャベツ)、トマト、いんげん等を、

販売用ではなく自分達で消費する目的で栽培しています。

今回の昼食ではその収穫したての野菜をメインに、

ワイナリー専属シェフが腕を振るって下さいました。

イタリアの強い日差しを浴びて育った野菜は、

ミネラルを多く含み味がしっかりしていて歯応えも良く、

どこか爽やかな風味もあって、とても美味しく頂きました。

このワイナリーでも置いていたオリーブオイル(メイカー等は確認出来ず)が

非常に美味しく、強く印象に残っています。

しかし連日の疲れからか、またしても料理の写真を撮影し忘れていました…



旅の終着地 ローマへ






夕食は“metamorfosi(メタモルフォシ)”と言うリストランテでいただきました。

一つ星のモダンな料理のお店です。アミューズからドルチェまで計17品、

和のテイストをミックスしアレンジされた繊細な料理の数々と、

それに合わせたワインも7種類。

優雅で贅沢なひと時はあっという間に過ぎ去ったように感じました。

日本に帰った今もまだ、あの美しいコース料理は鮮明に思い出せます。




metamorfosiのパスタ料理 独創的な盛り付けでした




サクランボを模したドルチェ



<7日目>バチカン市国、ローマ観光


 ご存知かとは思いますが、バチカン市国は、ローマにありながら

国家としては全く別物で、国土全土がユネスコ世界遺産に登録されています。

私達はその城壁の中へ入り、サン・ピエトロ大聖堂へ。






バチカン市国 サン・ピエトロ大聖堂 バチカンだけではなくカトリック教会の総本山です


巡礼者と観光客が大勢いて中には入れない可能性もある、

と聞いていましたが、時間も早かった為、運良く入る事ができました。

荷物チェック、服装チェックがあり露出が多い服装では入れません。

とても神聖な場所である為、入館チェックで止められる人も多々いました。

歴史の重みに圧倒されそうになるバロック建築で、カトリックの総本山だから、

と言うだけでなく、数えきれないくらいの精緻な彫刻もあり、見どころが沢山ありました。

私はカトリックではありませんが、心を洗われたような気持ちになって大聖堂を後にしました。



食材の専門店街 EATALY Romaにて昼食


日本でも東京と横浜にある「食育の出来るスーパーマーケット」 EATALY内のレストランにて

ランチを。その際に頂いたワイン(フォンタナフレッダ・ラッツァリート・バローロの1997)が、

価格が高いだけあって、旨味とコクがありタンニンも程よく美味でした。

澱を返し、温度を少し下げるとまた深い味わいが感じられます。

…この時も写真を全く撮影していなかったのは、きっと長旅の疲れのせいなのでしょう。


イタリアではカウンター式のカフェ・バールが街中や港、高速道路のパーキング等、

ありとあらゆる所にあって、いつでもどこでも1ユーロ程で

入れたての美味しいエスプレッソを飲む事ができます。

多くのイタリア人はだいたい毎日4杯くらい飲むそうで、

私も真似して朝の散歩時から夕食後まで、ここぞとばかりに飲みました。

ほとんどのカフェ・バールで私達が普段から扱う

イリーやキンボ、ラバッツァの豆を使用していました。

現地で実際に使われているのを見て、本場の味を日本で販売している事に

妙に自信がわきました。お客様への説得力も変わってくるのだろうと思います。


市内観光の時にはスペイン広場からブランド通り、

トレビの泉へと歩きショッピングも楽しみました。

工事中で立ち入る事は出来ませんでしたが、

映画「ローマの休日」で有名な大階段も見に行く事が出来ました。

映画の真似をして買ったジェラートをこぼす観光客が多かったようで、

建築物や景観の保全の為、スペイン広場を含む周辺一帯では飲食禁止となっていました。




マルス広場 パンテオン神殿




バルベリーニ広場




 昨年のスペインに続き二度目のヨーロッパ研修になりましたが、

何度でもまた来たい!というのが今の率直な思いです。

ヨーロッパの食材・飲料への理解を高める、知識見聞を広める、

人として成長するのに必要なものが沢山得られたように思います。

イタリアと日本は食文化の根の部分から色々な部分が違うように感じました。

共通している部分としては、食事を通じて

相手と有意義な時間を過ごす事を大切にする所です。

イタリアでは食後にはドルチェがあり、リモンチェッロやグラッパ、

ドルチェワイン等の食後酒を飲みエスプレッソで締める。

私はこの研修で食事に対する考え方、認識を改める事が出来たように思います。


名門ワイナリーを何軒も訪問し、畑や醸造所を見せて頂きながら

詳細な説明を聞かせて頂いたり、オルヴィエートやイスキア島など、

通常のツアー旅行では行けないような所にも沢山行かせて頂き、

会社には感謝の気持ちしかありません。

同行者の方々にも大変良くして頂き、お世話になりました。

お取り引きがあるお店の方もおられましたが、

中でも私が入社当初に担当させて頂いていたお店で

セコンドをされていた方もいらっしゃったりと、良い縁を強く感じました。


今後は研修での経験を活かし、私達の重要な仕事の一つである

食材やワインの販売を通じて、他国の文化や風習をより深く鮮明にお客様にお伝えし、

得た知識を社内でも共有して会社の将来に役立たせていきたいと思います。

また9日間という長い間、私の担当エリアをフォローしていただきいただいた

大阪支店の皆さんにも感謝の気持ちでいっぱいです。

再び海外研修の機会を与えて下さり、本当にありがとうございました。



大阪支店 田中 景介

東京支店 長谷川 雄亮



 

 


追記

今回の地震において、私の旅したイタリアの地に甚大な被害が出たと聞きます。

被災された方々が一刻も早く、平穏な日々を迎えられる事を日本から祈らせていただきます。